世の中の失敗から多くを学んだ人が成功する
アルクス株式会社 代表 上内隆之
1. 成功物語より失敗談の方が宝が眠っている理由

中小零細企業の経営者は「成功した社長の話」を熱心に追いがちですが、実は 失敗事例こそが“再現性の高い教材” です。成功は時流や運という偶然が大きく左右しますが、失敗は時代も国も規模も関係なく同じパターンで繰り返される――ここに学ぶ価値があります。
2. 戦国時代に学ぶ「志半ばの敗因」
武将 | 失敗の背景 | 現代への示唆 |
---|---|---|
武田勝頼 | 周囲の目を気にし重税・拙速な領土拡大 → 信長に包囲され滅亡 | キャッシュフローより見栄投資を優先すると立ち回れない |
石田三成 | 合理主義を貫くが現場からの支持ゼロ → 関ヶ原大敗 | チームの“情”を軽視したリーダーは孤立し実行力を失う |
明智光秀 | 大義名分不足のクーデター → 天下獲り目前で滅亡 | ビジョンの共有なくクーデター型改革を行うと信用を失う |
失敗武将たちは「能力不足」ではなく 判断のタイミング・味方づくり・リスク評価 で躓きました。これは経営にもそのまま当てはまります。
3. 現代企業の“惜敗”パターン

- 技術は一流、マーケティング三流 … プロダクトアウトに固執し、市場に届かず資金ショート。
- ワンマン社長のブラックボックス経営 … 右腕育成を怠り、病気やトラブルで一瞬にして停滞。
- 拡大フェーズで管理会計を軽視 … 売上は伸びても粗利率悪化、銀行格付けが下がり資金調達困難。
数字も才能も揃っていたはずなのに大成しない企業の多くは、“しくじりの方程式” を軽視していたに過ぎません。
4. 失敗は世界共通の「統一ルール」
- 内省を怠る(メタ認知の欠如)
- 小さく検証せずに大きく賭ける(検証コストケチり)
- ピンチを隠す(情報ブラックボックス化)
- 慢心して周囲の助言を遮断(学習放棄)
逆に言えば、この4点を潰せば“失敗確率”は劇的に下がります。
5. 中小零細企業が「失敗を回避→成功へ」転換するステップ
- プリモータム(事前に失敗を想定する会議)を設ける
- KPIより“チェックポイント”を短サイクルで設定
- 失敗共有会を制度化し、罰より学びを優先
- 外部メンター・コンサルと月次で現状レビュー
- (アルクス株式会社では月5万円から伴走支援を行っています)
- 撤退基準を数値で明文化
6. まとめ:失敗の再現性を味方にする
成功は偶然でも、失敗は必然。
だからこそ、失敗パターンを自社の観察シートに落とし込み、チェックリスト化する経営者が最終的に勝ちます。戦国の将も現代のスタートアップも、しくじるメカニズムは同じ―― “他山の失敗”を自社で擬似体験し、最速で潰す ことこそが、時代・規模を越えて通用する成長戦略なのです。
次の一歩:今月中に「社内しくじりカルテ」を10件作り、全社員で共有してみてください。失敗を学びに変える文化が、あなたの会社を未来の成功へ導きます。
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