建築業にとって 営業力 とはどういうことなのか?

――「見積りを出すだけ」から脱却し、“選ばれるパートナー” になる5つの視点
こんにちは。アルクス株式会社の上内隆之です。
製造業や小売業の営業と異なり、建築業――とくに工務店・リフォーム・外構業――の営業は単なる受注活動ではありません。
顧客の人生計画・資産価値・安全性を左右する “意思決定支援” こそが本質です。
本稿では ① 建築営業の特殊性 ② 営業力を構成する5要素 ③ 強化ロードマップ をわかりやすく整理します。
1️⃣ 建築営業が 一般営業と決定的に違う 3つのポイント
ポイント | 一般的な営業 | 建築営業 |
---|---|---|
取引頻度 | 高(リピート・定期購入) | 低(数年〜数十年に一度) |
金額規模 | 数千〜数十万円 | 数百万〜数千万円 |
可視性 | 完成品を見て買う | 完成前に買う(図面・CG・実績で想像させる) |
示唆:
- 顧客は“後悔したくない”心理が極端に強い
- 信頼構築とリスクヘッジ が営業力の中核となる
2️⃣ 建築業の 営業力5要素(T.R.U.S.T.)
英字 | 要素 | 対応する顧客心理 | 指標例 |
---|---|---|---|
T | Technical Proof(技術証明) | 「ちゃんと作れる?」 | 施工事例100枚・品質データ・保証年数 |
R | Risk Management(リスク提示&回避策) | 「失敗しない?」 | 瑕疵保険・工期遅延率・安全体制 |
U | Understanding(課題理解) | 「私の要望を分かってる?」 | ヒアリング質問数・提案書カスタム度 |
S | Simulation(可視化) | 「完成後を想像できる?」 | 3Dパース・B/A動画・ROI試算 |
T | Timeline & Follow-up(工程透明化と伴走) | 「工事中も安心?」 | ガント共有・LINE進捗報告頻度 |
3️⃣ 営業力強化ロードマップ——90日で “見積り屋” → “パートナー” へ

期間 | 重点要素 | 主なタスク | KPI改善目安 |
---|---|---|---|
DAY 0–30 | U/S | 質問テンプレ10問+3Dパース標準化 | 成約率+8pt |
30–60 | T(技術)&R | 施工事例テンプレ&リスク説明シート作成 | 値引き要請▲30% |
60–90 | T(タイムライン) | ANDPAD共有・LINE進捗Bot導入 | クレーム率▲40% |
4️⃣ ケーススタディ:外構会社 A 社
指標 | 導入前 | 6か月後 |
---|---|---|
見積→契約率 | 18% | 37% |
平均粗利率 | 19% | 28% |
工期遅延件数 | 5件/四半期 | 1件/四半期 |
施策:T.R.U.S.T. 全要素をテンプレ化、LINE工程報告、3Dシミュレーション導入。
顧客は “安心して任せられる” と口コミが増え、紹介率も 11% → 29% へ。
5️⃣ 今すぐできる セルフチェック5問
質問 | Yes / No |
---|---|
施工事例を“数字+保証”付きで説明できるか? | □ |
瑕疵保険・遅延率などリスク情報を初回提案で提示しているか? | □ |
ヒアリングテンプレが標準化され、全営業が使っているか? | □ |
完成後のメリットをROI・3Dで可視化しているか? | □ |
工程進捗を顧客がリアルタイムで見られる仕組みがあるか? | □ |
Yes 3つ未満なら、営業力=契約率と粗利が大きく伸びる余白があります。
まとめ:建築業の営業力は “施工力+顧客心理設計” の掛け算
- 取引頻度低&高額&未完成購入 → 信頼・リスクヘッジがカギ
- T.R.U.S.T.(技術・リスク・課題理解・可視化・タイムライン) を磨く
- 90日のロードマップで “ただ見積る会社” から “選ばれるパートナー” へ
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―― 営業力を再定義し、
価格ではなく価値で選ばれる建築会社 を目指しましょう!
著者:アルクス株式会社 上内隆之
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