儲かる建築業とは──“利益率が高いのに資金が回らない”理由を他業種と比較し、伸びる会社 vs. 留まる下請けの分岐点を解説

こんにちは。アルクス株式会社の上内隆之です。
表面的な数字だけを見ると、建築業(新築・リフォーム・外構)の**粗利率は20〜35%**と、製造業や小売業より高いケースが少なくありません。
それなのに——
「資金繰りにいつもヒヤヒヤする」
「受注は多いのに手元現金が残らない」
という声が後を絶たないのはなぜでしょうか?
本稿では 他業種との構造比較で“儲からないカラクリ”を解き明かし、さらに 下請けで停滞する会社と成長する会社の違い を深掘りします。
1️⃣ 他業種と比べて分かる“建築業の落とし穴”
指標 | 建築業 | 製造業 | 小売・EC |
---|---|---|---|
粗利率 | 20〜35% | 15〜25% | 10〜20% |
入金サイト | 完成後30〜90日(元請けは出来高請求) | 30〜60日 | 即時〜15日 |
前払コスト | 材料・外注費が先行 | 原材料は在庫管理可 | 仕入れ→即販売 |
作業変動 | 現場環境・天候で遅延 | 工場内で安定 | 倉庫内で安定 |
リカバリー難易度 | 再施工=二重コスト | 再加工で調整可 | 返品・交換で対応可 |
ポイント:
- 入金が遅い×先行コストが大きい → キャッシュギャップが最大化
- 現場変数(天候・地盤・近隣トラブル)が多く、予定利潤が削られやすい
2️⃣ “粗利≠利益” になる3大要因
要因 | 仕組み | 典型症状 |
---|---|---|
① 進行基準への無理解 | 完成引渡時に売上計上 ⇒ 工程遅延で売上が翌期へ | “売上ゼロ月”が発生し資金ショート |
② 原価ブレ | 現場追加・手直し・廃材 | 粗利率25%予定→実績17% |
③ 間接コスト跳ね上がり | 運搬・待機時間・再訪問 | 工期1日遅延で人件費+5〜8万円 |
3️⃣ “下請け職人でい続ける”会社 vs. “成長する”会社 の分岐点
観点 | 下請け職人のまま | 成長を遂げる会社 |
---|---|---|
受注経路 | 1次請からの電話 | MEO+LP+紹介で直販50%超 |
キャッシュ管理 | 完工後一括入金 | 着手金20%+出来高請求 |
原価管理 | 紙台帳・経験値 | ANDPAD等でリアルタイム管理 |
職人ネットワーク | 社長の携帯に数名 | 技能DB+LINEチャットで30社以上 |
ブランディング | 「安い」「早い」頼み | ターゲット×ベネフィット1フレーズ+実績パッケージ |
社長の時間 | 現場70%/経営10% | 現場20%/営業・戦略60% |
結論:
キャッシュ・原価・人材 を“可視化&仕組み化”した瞬間、建築業の粗利が**“残る利益”**に変わる。
4️⃣ 儲かる建築業へ転換する3ステップ

ステップ | 期間 | やること | 成果指標 |
---|---|---|---|
STEP 1|キャッシュ設計 | 1か月 | ・着手金契約書 ・出来高請求タイムライン | 現金残高3か月分 |
STEP 2|原価&工程可視化 | 2か月 | ANDPAD導入:写真・原価・工程一元化 | 原価ブレ▲10pt |
STEP 3|直販&職人ネットワーク | 3か月 | MEO+LP導入/職人DB30名 | 元請け比率60%、粗利+7pt |
5️⃣ ケーススタディ:リフォーム会社R社
指標 | 改善前 | 改善後(12か月) |
---|---|---|
粗利率 | 22% | 31% |
現預金残高 | 0.8か月分 | 3.5か月分 |
元請け比率 | 15% | 65% |
社長の現場時間 | 70% | 25% |
施策:着手金契約・ANDPAD原価管理・MEO+紹介スキーム・職人ネットワーク化。
結果:利益が残り、社長が新事業開発に投下する時間も確保。
まとめ:建築業は“粗利が出やすい”が“溶けやすい”。鍵は仕組みと可視化
- 入金遅延×先行コストがキャッシュを圧迫
- 粗利を利益に変えるには キャッシュ工程可視化+直販比率UP
- 下請け停滞と成長企業の差は 営業・原価・人材ネットワーク で決まる
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著者:アルクス株式会社 上内隆之
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