今のビジネスを育てつつ、新規事業を考えないと――

“苦しい経営サイクル” から抜け出せない理由と脱却ロードマップ
こんにちは。アルクス株式会社の上内隆之です。
「売上はあるのに手元に現金が残らない」「値引き競争に巻き込まれて粗利が削れる」――多くの中小企業が同じ悩みを抱えています。
本稿では ① 苦しい経営サイクルの構造 ② 新規事業を同時育成すべき理由 ③ コア事業を守りながら新事業を育てる4ステップ を深掘りします。
1️⃣ “苦しい経営サイクル” はこう生まれる

症状 | 背景構造 | 結果 |
---|---|---|
売上=ほぼ既存顧客 | 市場飽和/価格競争激化 | 単価ダウン・粗利率低下 |
キャッシュ不足 | 設備投資・人件費が先出 | 資金繰りが常に綱渡り |
忙しいのに利益が出ない | 社長が現場+営業+マネジメント兼務 | 戦略時間ゼロ → 後手対応 |
本質:単一事業・単一顧客層に依存すると、市場変動=企業存続リスク。
現行ビジネス強化と “次の柱” の同時推進がなければ、いつか限界が来る。
2️⃣ なぜ“今のビジネスだけ”では限界が来るのか?

① 市場ライフサイクルの宿命
- 成長→成熟→衰退の波は避けられない
- 成熟期以降はシェア奪い合いで価格破壊
② 仕入・材料・人件費の上昇
- 原価UPを販売価格へ転嫁しにくい
- 粗利が年々削られ資金調達も厳しく
③ 顧客の多様化・チャネル分散
- オンライン発注・直取引など構造変化
- 既存営業チャネルだけでは“見込み客”が激減
3️⃣ 新規事業を並行育成する3大メリット
メリット | 具体効果 |
---|---|
収益源の多角化 | 単一市場の波を相殺し、中長期キャッシュフローを安定化 |
ブランド拡張・クロスセル | 既存顧客へ新サービス提案→LTV向上 |
人材エンゲージメント向上 | 社員に成長機会を提示→離職率低減&優秀人材採用に有利 |
4️⃣ コア事業を守りながら新規事業を育てる4ステップ
STEP 1|“余白資源” を捻出
- 現場業務を標準化・自動化し、週5〜10時間のイノベーション枠を確保
- 例:クラウド施工管理で残業▲30% → 企画会議に充当
STEP 2|アイデアパイプライン可視化
- 社内アイデア箱+月1ピッチ会 → 投資基準(市場規模・自社強みFit)を設定
- 5案→1案まで絞り MVP(試作品) 開発へ
STEP 3|小さく検証(MVP販売)
- 3か月/50万円以内でβ版サービスをローンチ
- KPI:初期顧客10社/継続率60%以上を目標
STEP 4|“隣接拡大” でフルスケール
- コア事業の資産(顧客基盤・設備・技能)を活用してコスト最小化
- 例:外構業者が“庭キャンプ用品レンタル”をECで展開 → 既存倉庫を流用
5️⃣ よくある失敗パターンと回避策
失敗パターン | 原因 | 回避策 |
---|---|---|
コア事業をおろそかに | 人員シフトが急すぎ | フェーズ別リソース配分表を作る |
新規事業に“社長の趣味”を優先 | 市場検証不足 | MVP→顧客インタビュー→Pivot |
複数事業を同時に走らせカオス化 | 管理会計が事業別で切れていない | PL/CFを事業区分で管理し決算ミーティング |
6️⃣ “営業マンが自走しながら新事業を売る” 体制例
役割 | コア事業 | 新規事業 |
---|---|---|
インサイドセールス | 見積・アポ取得 | β版オンライン相談 |
フィールドセールス | 契約クロージング | 追加ヒアリング&共同開発提案 |
カスタマーサクセス | アフター・紹介 | 利用データ収集→改良インサイト提供 |
ポイント:報酬を粗利共通KPIに統一し、社内で“獲得案件の取り合い”を防ぐ。
まとめ:既存×新規の“両輪経営”でサバイブする
- 苦しいサイクルの原因=既存1本依存+価格競争
- 並行育成でキャッシュ安定・社員活性・事業価値UP
- 4ステップ(余白確保→パイプライン→小さく検証→隣接拡大)が王道
- 失敗を防ぐ鍵は事業別管理会計とリソース配分の段階設計
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―― “苦しい経営サイクル” から抜け出し、
持続的に伸びる複数エンジン企業 を一緒に目指しましょう!
著者:アルクス株式会社 上内隆之
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