社長が営業を取ってくる会社はなぜ成長できないのか?

―― 例外的に“社長ひとり”で伸びる会社の共通点と、営業マンが育つ環境のつくり方
こんにちは。アルクス株式会社の上内隆之です。
中小企業の経営相談で最も多いテーマのひとつが 「社長が営業の最前線に立ち続けている」 という問題です。
今回は――
- 社長営業が成長を阻む理由
- それでも“社長ひとり”で伸びるレアケースの特徴
- 営業マンが自走・成長する環境づくりの具体策
を深掘りします。
1️⃣ なぜ“社長営業”は会社の成長を止めるのか?

症状 | 具体的な弊害 | KPI影響 |
---|---|---|
社長のスケジュールが商談でパンパン | 戦略立案・資金調達が後回し | 新規事業着手率 ▲80% |
顧客が“社長しか信用しない” | 権限委譲できず、組織が拡大しない | クロージング率は高でも件数頭打ち |
営業ノウハウが言語化ゼロ | 社員が真似できず属人化 | 新人定着率 ▲50% |
本質:
- 社長=最大単価・最短成約 を生む“特殊兵器”。<br> 兵器を日常運用に使えば経営者不在になる。
- 再現性のない売上は銀行・投資家の評価も上がらず、成長資金が取りにくい。
2️⃣ それでも“社長ひとり”で伸びるレアケースの3条件

条件 | 具体像 | リスク |
---|---|---|
超高付加価値商材 | 特許技術・富裕層向け注文住宅など | 市場規模が小さくスケールしにくい |
価格決定権が社長の専門性に直結 | コンサル・医療・士業など | 社長離脱=価値喪失 |
仕組み化より出口戦略 | 早期M&Aや限定プロジェクト型 | 組織を残さず“焼き切り”で終わる |
共通点:短期的に高収益だが**“会社”ではなく“個人商店”モデル**。
成功の再現性や承継性が低く、社長が病気・引退で一気にリスク顕在化。
3️⃣ 営業マンが育つ “自走環境” のつくり方
◆ STEP 1:売れるプロセスを 言語化 → 可視化
- ペルソナ・課題・解決策 を営業ストーリーシートに落とす
- ヒアリング質問テンプレ と 想定FAQ を共有フォルダで更新
- 案件ステージ×確度定義 をSFA/CRMに設定(見込み→提案→契約 など)
Before | After |
---|---|
経験頼みのアドリブ | 新人でも“型”で商談が進む |
◆ STEP 2:同行 → ロープレ → フィードバックループ
フェーズ | ツール | 期間 |
---|---|---|
同行見学 | 商談録音/議事メモ共有 | 1か月 |
ロールプレイ | 社内Zoom録画+レビュー | 2週間 |
単独商談 | 週次1on1で案件レビュー | 常時 |
ポイント:フィードバックは “事実 → 行動 → 次回改善案” の順で、人格に踏み込まない。
◆ STEP 3:インセンティブ設計 と 成長ラインの明示
- 成果報酬は「粗利連動」 に設定し、無理な値引きを防止
- スキルグレード(例:見積作成OK→複数案件同時回し→組織マネジメント) を提示
- “昇格要件×教育プログラム” を社内Wikiで公開し、自己学習を促進
◆ STEP 4:マーケと分業し ホットリード集中 に変える
- MQL→SQLを定義し、営業は“確度70%以上”だけを担当
- テレアポ・フォーム反響の一次対応をInside Salesへ委託
- 成約率30%超を維持しながら訪問件数40%削減 → 時間当たり粗利UP
意外と気づいていない “育つ環境” の副産物
- 採用コスト減
- “育成できる会社” は候補者の安心感が高く、自社メディア経由応募が増加。
- 顧客体験統一
- 誰が担当でも提案品質が揃い、口コミ評価↑・紹介案件↑。
- 事業売却価値UP
- 営業が仕組み化されている企業はEV/EBITDA倍率が+1〜2ポイント上がる事例多数。
まとめ:社長が“売る”から“仕組みを創る”へシフト
旧 | 新 |
---|---|
社長=最強営業マン | 社長=売れる仕組みのディレクター |
個人ワザの属人化 | プロセス共有・数字管理 |
目先の売上最優先 | 組織再現性・事業価値最大化 |
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著者:アルクス株式会社 上内隆之
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